INTERVIEW: How Slow Art Collective started(スローアートコレクティブのはじまり)
We receive many questions ‘How the Slow Art Collective started?’. We started 2009, and there are a few background what we were thinking and how it became to this stage. The following interview was conducted a while ago, but it can feed you a bit of the context!! English translate version after Japnaese writing.
スローアートコレクティブを作ったいきさつについてのインタビューです。以下リンクより転載しました。
スローアートについてインタビューApril 13, 2023
2022年11月14日から12月2日まで東京・大手町のサンケイビルで開催の「Slow Art Collective Tokyo(スローアートコレクティブトーキョー)」。来年の「東京ビエンナーレ2023 」に先行する「東京ビエンナーレ2023 はじまり展」の一環で実現しました。
このプロジェクトは、オーストラリアの芸術集団「Slow Art Collective(スローアートコレクティブ)」が東京・大手町に滞在し、市民や子供たち、学生、このエリアで働く人々と共にインスターレション作品を共同制作する参加型アートプロジェクトです。街を行き交う人々の恊働で、見慣れた風景をカラフルで有機的な空間に変容させ、その過程で緩やかなつながりを生み出すことを目指します。
今回お話を聞いたのは、2008年より「スローアート」という概念を提唱し、グループを立ち上げた加藤チャコさん。現在、ディラン・マルトレル(Dylan Martorell)さんと共にグループの中心となり、フレキシブルなアーティスト集団としてオーストラリア・メルボルンを拠点に活動を続けています。
──スローアートコレクティブを立ち上げたきっかけを教えてください。
スローアートコレクティブを立ち上げたのは2009年に遡ります。当時私は大学院を終えて、画廊に所属し、制作をしてそこで発表してといういわゆるアート界への「王道」を歩み始めた時期でした。
ところが、自分自身ただ作品をつくってホワイトキューブで発表して、わかる人に見てもらってという在り方にちょっと疑問を感じはじめたんです。とにかく作ってみせて、売って(うまくいけば)、残りは保管場所を探して倉庫入りというプロセスがとてつもなく窮屈に思えました。なにかもっと新しいモデル、新しいパラダイムを開いていくべきではないのか、、、と自問自答をしていました。
ギャラリー(画廊)というアート関係者のみの閉ざされた空間ではなく、もっと社会の大きな場所やアートギャラリーには来ないような人たちとも交流したい、と。
色々試行錯誤していましたが、その当時スロームーブメントが全盛だった頃でもあり、こういう思想をアートにもってこれないかと考えました。もっとゆっくりと社会や市民がアートを楽しみ、それによってアートと私たちの社会・生活がもっと豊かになっていく、そして、それがゆっくりと成長していく……。
それはアーティストが作ったものをただ見に来るのではなく、見に来る人もまた制作に参加し、それ自体がアートとなる。そんなことができないだろうかと思ったんですね。
まあ、こういう考えに至ったのは本を正せば、当時作品を制作しても、またそれをどこかに保管しておかなくてはならないのに、もう保管場所がない。一体どうしたらよいものかと、ほとほと困っていたからです。 作れば作るほど困っていくというジレンマです(笑)。なぜこんなことを繰り返しているのかという疑問が大きくなり、制作意欲が激減してきました。つまりアーティストとしてサスティナブル(持続可能)ではなかった。
スローアートという切り口は、残りの人生をアーティストとして生きていくためにどうしたらサステイナブルでいれるのか、という問いへの答えのひとつだったのです。
──アート活動を続けていきたいのに、現実はきびしい……多くのアーティストが抱える問題ですね。
はい、私はそこを打開したかったんです。
アートは私の根幹であり、自分の人生でたくさんの時間とお金と魂を投入してきたものです。今まで投資してきたものに何かしらリターンがなかったら意味ないですよね。一生アーティストでありたいと思っていましたが、あの現状ではちょっとどうかなあ……と。
それに家族がいましたので、作品を保管するために家が作品で一杯になってしまっても困る。私はアートの仕事も家庭生活もどちらも持続させ、充実した人生を生きたいと思っていましたし、普通の幸せな一市民としてアート活動を模索したかったのです。それが一番切実なところでした。
──なるほど、それでスローアートに辿り着いたのは?
当時はサステイナブルな生活をする、という概念がオーストラリアでは強く根付いてきた時代でした。ソーラーエネルギーは一般化し、野菜オイルをガソリンに変えて使ったり、家も庭もDIYで作ったり。巷の社会では今までの人間中心の世界観から少しずれて、環境や地球の立場から物事をみていかなくてはならない時代になっている。そういう風潮を見て、アーティストとして自分のアートを考えるとき、そういう流れを組み入れなくては嘘だろう、と思ったんです。そういう新しい視点がとても面白いと思いました。
──加藤さんの提唱するスローアートの概念について、詳しく教えていただきたいです。
スローアートを要約すると、アートを生活の中から生み出し、生活そのものをアート化していくという円環哲学です。
ここでいうアートとは「アート的な考え方、思想」の問題で、美しいものや新しい形を創り出すということだけではありません。今後の環境問題、多文化社会を推進していくためにはアート的発想や思考ができる社会でなくてはならないということです。
そのためには、社会がアートをもっと当たり前なものとして受け入れる必要があります。今はまだ西欧社会でもアートは余剰として考えられており、何かあれば必ず真っ先に教育の時間や予算が削られるという現状が残念ながらまだまだあります。なんとか実践を通じてアートの力を少しずつでも体感してもらいたいのです。
──なるほど、考え方が大切なわけですね。アートの言説でもあるわけですね。
そういう転換を図ろうとしている時は、やはり何かその枠組みを組み替える文脈と言語が必要ですよね。それは当時のポストモダンや脱構築の枠組みともちょっと違っていると感じていたんです。それで当時、自分自身が興味をもっていた「スローライフ」「スローフード」にみられるスロー運動というライフスタイルの思想を参照して、自分のアートの方向性を徹底的に考えてみました。
それは端的にいうと「日常すべてのことにおいて過程そのものを大事にして楽しむ、その体験と実感こそが社会を変えていく」という思想です。それは愛読していたドゥルーズのライゾーム(地下茎)的発展、という考え方ともシンクロしました。
──ゆっくり作る、ということの大事さもあるのでしょうか?
私たちのスローというのは、ゆっくり作るということでもないんです。逆に私たちの制作は即興ですごく速い。与えられた場所と時間でそこにあるものを使って最大限のものを作り出します。
スローアートとは、社会的・精神的・経済的な活動のことでもあります。アーティストがものを作った対価としてお金をもらうのではなく、もっとスローに社会やコミュニティ、環境と交わるということに重点をおいて、じっくりとアートが社会に浸透していくことを目指す。そして、それに対して社会がアートというものに対価を支払うという緩やかな円環経済活動システムです。
あらゆる生活の中の物事をアート的柔軟な思考をもって対応できる力のある社会こそ、何よりも豊かな社会であると思います。アートの浸透度こそが社会指標と言っていいのではないでしょうか。現在の社会の諸問題を考えるにも、アート的思考をもって対処するということの重要性を強調したいと思います。
ともかくアートというのは思考の一番核となる部分で、あらゆる分野の人たちにインスピレーションを与えることができます。そういうものが画廊の中にアートとして陳列されるものだけではなく、もっともっと街や社会の中の日常にもあるべきなんです。それによって日常の中に非日常という新しい概念、考え方、ものの見方が溢れている社会になっていきます。
それにはまず、アーティストであるということが持続可能な社会と環境が必要です。
──現状としては、美術系の大学を卒業しても、その後ずっとアーティスト活動をする人は少ないというのがありますよね。
現状はオーストラリアでも大変優秀な美術系の学校を卒業しても、3年後には8、9割の人がアート活動をやめてしまうという統計があります。何故かといえば、経済的・環境的に無理が多すぎるからでしょう。結婚したり子供ができたりしたら、アートなんて言ってられないとなってしまうのが、まあ、普通でしょう。
それでももちろん、アーティストとして生き残るすごいアーティストたちもいるし、それくらいのたくましさがなければアーティストとしての資質がないという意見もありますが、美術教育を受けた人のたった1割の人だけでは無駄が多すぎる。社会はもっと多くのアーティストが生き残れる環境を目指すべきではないでしょうか?
13年前の世の中はAirb&bやUberのような時代に劇的に変わっていった頃でした。それらが良い・悪いということではなく、アートの中でもそういう新しい代替えの発想、アプローチをもっと考えるべきで、それ自体がアート的ですよね 。ツリー型の構造の発想(一本の幹から枝が分かれるもの)でなく、地下茎型(あらゆるところから根が張り出し発達する)形が良くも悪くも今日的なのだと思います。
スローアートはその答えとは言えませんが、確実にその考えに根ざしたひとつの考え方です。
──その後活動の場所は提供されてきたのでしょうか?
私たちは特に何の宣伝活動もしていませんが、この13年間本当にありがたいことに途切れることなく活動が続いています。オーストラリア政府のアート活動への予算は何かあればすぐ削られてしまいますが、まだ余白があります。
私たちのようなアート活動への認知度はずいぶん高くなってきましたし、美術館、地域のアートセンター、学校、大学、公共施設、ガーデンなど、様々な形で仕事のオファーをもらってきました。
「Slow Hume」ブロードメドウズ・セントラル, ヒューム市からのコミッションワーク、ビクトリア、オーストラリア、2022
──では、画廊だけでの発表という形態より、13年前にスローアートへの道を進んだことは間違ってない選択といえますね。
はい、いろんな人と一緒に作っていくので本当に楽しいです。アーティストは孤立しがちですが、私にはみんなで色々と揉めたり妥協しながらもやっていくことが精神的にもとても健全に思えます。
ただ私は自分で作品制作をしたり、絵を描いて画廊に展示する価値を否定しているわけではなく、私自身ソロアーティストとして画廊や美術館とも仕事をし続けています。相方のディランもとてもユニークなサウンドアーティストとして活動しています。そしてお互いのものをまたコレクティブの活動にもってきて、料理し直して使っています。
スローアートは相対する考えではなく共存、両立してアーティスト活動を続けていくひとつの方策の提案です。他分野の人たちも共感して参加してくれるので、より活動と表現の幅が広がり、予想外の面白いものができたりします。それに対する報酬も支払いますので、彼らとしても身になる体験になるわけです。
私自身はディレクターやプロジェクトマネジャーのような役割も多くなり、必ずしも自分だけで全部制作しなくても良いと思っています。
──制作方法や素材は、どんなものを用いていますか?
定番の作品は基本的には竹などの材料で、何度も使用可能なリユース素材を使用します。竹で組んだ櫓状のものに、ロープのマクラメなどを編み込んで基礎を作り、そこに街で拾い集めたものやリサイクルしたものをどんどん組み合わせていき、半分は即興的に制作しています。
大体は大きな構築物を作り、ディランの専門であるインタラクティブなサウンドインスタレーションを組み合わせるというパターンが多いです。2人とも即興ということにとても重きを置いているので、その場でできていくものもたくさんあります。DIYの弓矢やサンドバッグなどを使って遊びの場をつくったり、寝転んで休める場所を作ったり、いらないものを集めてきて、立ち寄った人たちが自由に基地や隠れ家を作れるような場所を提供したり。
要するに単純でシンプルな材料と場所と機会があれば、人々はとても喜んで何かをつくり、遊べてしまうものなんだなあとつくづく感じます。大人もみんな「子供心を思い出す」と言ってくれますよ。
──参加した人たちはどんな感想を持つのでしょうか?
みな日常では得られない時間をちょっとゆっくり過ごしていってくれるようです。とても印象的だったのは、ある小学校でみんなで1か月間かけてインスタレーションを作っているとき、6年生の子供たちが「今まで6年間みんなとクラスを共にしていたけれど、こんなにゆっくり話をしながら遊べたことはなかった。みんなのことがもっとよく分かり、とても好きになった」と言ってくれたことです。
また去年、美術館で行った屋外でのプロジェクトでは、子供たちにパイプやボールを与えたら、そこらへんにいた子供たちみんなが(全く知らない子供同士)巨大な「ピタゴラスイッチ」を作り出しました。みんな何時間も夢中になって駆け回り、とても盛り上がっていましたよ。
私たちにとっては全く予期していないものができた良い例です。誰一人携帯電話を触ったりしてなかったですよ!(笑)
──コアメンバーであるディランさんと一緒に活動するいきさつは?
私が色々模索している時期に、ディランの展覧会を見に行き、そこで出会いました。彼の作品が衝撃的に面白く、まさしく自分が考えていたような価値観を持っていたんです。彼がそこにたまたまいたので、声をかけて話をし、一緒に活動をすることにしました。
彼は必要なものがあると、ふとどこかのゴミ箱からそれを見つけてくるような、実に不思議な能力が持ったすごい人なんです(笑)。現在の活動も彼があの時、あそこにいたから始まったともいえます。彼に出会えたことは本当に幸運でした。
それに彼も私にもお互いの家族がいて、いつも互いの家族を巻き込んで仕事をしてきたことも、ここまでスムーズに発展してきた理由だと思います。
お互いの子供たちが常に作品制作に関わり、今までの制作の中には子供たちとのやりとりから生まれてきた作品がたくさんあります。そういう有機的な在り方がとても好きです。
当時は幼稚園児だった二人の子供たちも今や頼もしい美大生になり、スローアートコレクティブを支えてくれる第一人者です。下準備や設置のときはいつも彼らがいてくれています。それがスローアートコレクティブの1番の成果かもしれません(笑)。
──加藤チャコさんはソロの活動もされていますね。ソロ活動は、どのような特徴がありますか?
ソロ活動は糸や紐を用いて、即興的で大きな建築的インスタレーションを制作することが多いです。糸一本でどんな彫刻ができるのか、どうやってその場の環境条件とコラボレーションできるのかというチャレンジがとても楽しいです。 編むこと、結ぶこと、織ること、そういう単純な機械的運動によってもたらされる結果としての美術作品、そういうことに興味があります。
そして、その中に入り込んで中から外をみる、その場所を変容させる仕掛けを薄い膜のようなものでつくりたい。いかにそこの環境や場所と共同作業をするかということです。身体を使ってそれをする時、初めてその場所というものが身体で理解できるようになるんです。場の空気が変容し、その瞬間がただただ、嬉しいんです。
それから庭仕事ででた草花の根っこや、果物・野菜の皮やへたなども組み込んでインスタレーションとして作ったりもします。
──スローライフから派生してくる作品ですね。
はい、私はともかく「変化し続けるもの」に興味があるので、海藻や菌糸、植物、土を素材に色々な作品もつくっています。庭のコンポストや土づくり、きのこ栽培などをしている時間が何よりの大事な時間で、これは本当にスローアートの基本ですね。そういった素材と記録を使って作品作りをしています。ただ毎日慌ただしくて、なかなか本当のスローライフとは言い難いですが(笑)。
ただ、スローライフの本質というのは過程そのものに価値を置くということです。人生の毎日の過程、そのものを楽しまなくてはならないんですね。
Slow Art Collective公式サイト
https://www.slowartcollective.comインタビュアー:J. Webb(キャンベラ大学教授)
英文和訳:加藤チャコ
編集:吉岡周流(東京ビエンナーレ2023コーディネーター)
Slow Art Collective Tokyoは、2023年開催の「東京ビエンナーレ2023」に参加予定です。そして、来年のビエンナーレに向け「生活とアートをゆるやかにつなげること」に関心を持つ人々を、参加メンバーとして募集しています。具体的な活動内容はこれから皆で考えます。参加費は無料です。
Translation version: from the interview Tokyo Biennale
ABOUT SLOW ART COLLECTIVE- How it is started, why it is started, what is Slow Art Collective
chaco kato
──Please tell me what prompted you to launch the Slow Art Collective.
The Slow Art Collective was founded in 2009. At that time, I had just finished graduate school and embarked on what could be considered the "traditional" path in the art world—joining a gallery, producing artwork, and presenting it there.
However, I began questioning the conventional approach of simply creating works, showcasing them in white cube galleries, and hoping for recognition from those who understand. The process of creating, selling (if successful), and then storing the remaining pieces in a warehouse felt incredibly stifling to me. I started to wonder if there should be a new model or new paradigm...
I wanted to engage with a broader societal context beyond the closed confines of galleries and interact with people who wouldn't typically visit art galleries, just with people in public places.
I experimented with various approaches, and at that time, the Slow Movement was gaining momentum. I wondered if I could incorporate this philosophy into art—encouraging society and citizens to enjoy art at a slower pace, enriching both art and our society and lives in the process. It was about fostering a culture where viewers don't just passively ‘observe’ art but actively ‘participate’ in its creation, where participation itself becomes art. I wondered if such a thing could be possible.
Ultimately, the impetus for these thoughts came from a practical dilemma: I ran out of storage space for my artwork! The more I produced, the more I struggled with this dilemma. The question of why I kept repeating this cycle grew larger, and my motivation to create dwindled. In other words, as an artist, I needed to be more sustainable.
The concept of Slow Art became one of the answers to the question of how to live sustainably as an artist for the rest of my life.
──Yes, that's the issue many artists face.
Exactly, and that's what I wanted to overcome. Art is at the core of my being; I've invested much time, money, and soul into it throughout my life. If there's no return on what I've invested so far, it's meaningless. I've always wanted to be an artist for life, but with the current situation, I was unsure if that would be possible. Additionally, I have a family, so it would be inconvenient if my house became filled with artwork. I wanted to sustain both my art career and family life, living a fulfilling life as an ordinary, happy citizen while exploring art. That was the most urgent issue for me.
──I see, so that's how you arrived at Slow Art?
At that time, the concept of living sustainably had taken root firmly in Australia. Solar energy had become commonplace, people used vegetable oil instead of gasoline, and DIY culture flourished for homes and gardens. Society was shifting away from the anthropocentric worldview to one where we must consider things from the perspective of the environment and the planet. Seeing this trend, I thought it would be dishonest not to incorporate such a movement into my art practice. I found that new perspective fascinating.
──Could you elaborate on the concept of Slow Art?
In summary, Slow Art is a process of creating art from within life, thus artifying life itself. Here, art refers not just to creating beautiful things or innovative forms but, more importantly, to artistic thinking and philosophy. To address future environmental issues and promote multicultural societies, we need a society capable of artistic imagination and thought. Therefore, society must embrace art as something more commonplace. Even in Western societies, art is often considered surplus; whenever budget cuts are made, art-related education and budgets are among the first to suffer. Unfortunately, this is still the reality. I want people to ‘experience’ the power of art little by little through practice not by just an idea or theory.
── I see, so the way of thinking is crucial. This is part of the discourse of art, isn't it?
Exactly, when you're trying to bring about such a transformation, you need a context and language that can reframe those frameworks. I felt it was a bit different from that time's postmodern or deconstructionist frameworks. So, at that time, I referenced the philosophy of the Slow Movement seen in "Slow Life" and "Slow Food," which was not limited to the context of art but to the philosophy of life, with some relation to Buddhism, eastern philosophy. And that thoroughly reconsidered the direction of my art.
In essence, it's a philosophy of valuing and enjoying the process itself in everything in daily life, believing that these experiences and realisations can change society. This perspective is also synchronised with Deleuze's concept of rhizomatic development.
──So, is the importance of creating slowly also a factor?
Our "slow" doesn't necessarily mean creating slowly. On the contrary, our production is very fast and improvisational. We create to the fullest extent using what's available in the given place and time.
Slow Art encompasses social, spiritual, and economic activities. Instead of artists receiving money as compensation for their work, the focus is on engaging with society, community, and the environment more slowly, allowing art to permeate society more deeply. It's a gradual circular economic activity where society reciprocates value for art.
A society capable of responding to everything in life with artistic flexibility is, above all, a richer society. The degree of penetration of art can be considered a societal indicator. Even when considering various social issues today, I want to emphasise the importance of dealing them with artistic thinking.
Art is at the core of thought and can inspire people in all fields. Such things shouldn't be confined to galleries but should be more prevalent in everyday life in cities and societies. This would create a society where new concepts, perspectives, and ways of seeing things overflow into daily life.
To achieve this, a sustainable society and environment are necessary first and foremost.
──As it stands, even after graduating from art school, few people continue with their artistic endeavours.
Indeed, even in Australia, statistics show that despite graduating from excellent art schools, about 80-90% of people give up on art activities within three years. This is largely due to economic and environmental challenges. It's pretty normal for people to feel they can't pursue art once they have children.
Nevertheless, there are undoubtedly outstanding artists who manage to survive as artists, and some argue that such resilience is a necessary quality for an artist. However, it's a waste when only 10% of those receiving art education continue as artists. Society should aim to create an environment where more artists can survive.
Thirteen years ago when this idea came up, the world was dramatically changing with the emergence of services like Airbnb, Uber or LCC. Regardless of whether they're good or bad, we should consider such new alternative ideas and approaches within art. That in itself is artistic, isn't it? Rather than a hierarchical tree-like structure, a rhizomatic structure (where roots spread out and develop from various places) seems more fitting for today.
While Slow Art may not be the ultimate answer, it's certainly one approach rooted in those ideas.
──Have you been provided with venues for your activities since then?
We haven't particularly advertised, but we've been incredibly fortunate that our activities have continued without interruption for the past 13 years. Although the Australian government's budget for art activities is often the first to be cut, there is still some room.
Recognition for activities like ours has increased significantly, and we've received job offers from various places such as museums, local art centres, schools, universities, public facilities, and gardens.
──So, it's safe to say that choosing the path to Slow Art thirteen years ago was not a wrong decision compared to just presenting in galleries?
Yes, it's really enjoyable to work with various people. Artists tend to be isolated, but for me, working with others while compromising and resolving conflicts seems psychologically very healthy.
However, I'm not denying the value of creating artwork and exhibiting it in galleries as a solo artist myself. My partner, Dylan, also continues to work as a unique sound artist. We bring each other's work into the collective's activities, remixing and reusing them.
Slow Art is not a contradictory approach but a proposal for coexistence and coexistence, allowing artists to continue their activities. People from other fields also sympathize and participate, broadening the scope of activities and expressions, leading to unexpectedly interesting results. And since we reward them for their contributions, it's a rewarding experience for them as well.
I find myself taking on many roles like director or project manager, and I don't necessarily think I have to do everything myself.
──What are the characteristics of Slow Art Collective's activities and artworks?
In our activities, we focus particularly on collaboration, the environment, and engagement with the community. They are 100% site-specific, and the concept of activating the site is crucial. Specifically, we conduct workshops with children, students, and the local community at the site and incorporate them into the exhibition. The meaning of the artwork evolves through these activities.
There is an increasing interest in getting involved, so depending on the scale, we invite young artists, children, and people from various professions to collaborate.
We firmly believe in the unexpected power of collaboration. It's a collaboration with people other than ourselves, with the environment, nature, the city, materials, and budget. It's "environmentally responsive," aiming not to impose our conditions but to adapt to the situation.
There's a great future in the unforeseen, and I feel a great potential in that way of thinking.
──What methods and materials do you use for production?
Our typical works usually involve reusable materials like bamboo. We create a base by weaving macramé ropes into a tower-like structure made of bamboo and then incorporate things we've collected or recycled from the city into it. About half of the process is improvised.
Generally, we create large structures and combine them with Dylan's expertise in interactive sound installations. Both of us place a strong emphasis on improvisation, so many things are created on the spot. We create spaces for play using DIY bows and arrows or sandbags, places to lie down and rest, and provide opportunities for people to freely create bases or hideouts using things they find. Essentially, with simple and basic materials and opportunities, people are delighted to create and play. Everyone says it brings out their childhood spirit.
── What are the impressions of the people who participate?
Everyone enjoys spending time in a way they can't in their daily lives, a bit more slowly. One particularly memorable moment was when we spent a month creating an installation with primary school children. The sixth graders said, "Even though we've been in the same class for six years, we've never had the chance to play and talk so deeply together. We got to know each other so much better, and I really like everyone now."
Also, last year, during an outdoor project at a museum, when we gave pipes and balls to the children, they all (even kids who didn't know each other) spontaneously created a massive "Rube Goldberg Machine." They were all running around for hours, having a great time.
It's a great example of something unexpected happening on site. Not a single person touched their cell phone! (laughs)
──In what way did you get started collaborating with Dylan?
During a period of exploration, I went to see Dylan's exhibition. His work was shockingly interesting and aligned perfectly with the values I had in mind. Since he happened to be there, I approached him, we talked, and asked to work together.
He has the amazing ability to find what's needed, like pulling something out of a random trash can (laughs). You could say our current activities started because he was there at that moment. Meeting him was truly fortunate.
Both of us have families, and involving each other's families in our work has been one of the reasons why things have developed so smoothly.
Our two children, who were preschoolers then, have become reliable art students now and are the primary supporters of the Slow Art Collective. They're always there during preparations and installations. That might be the most significant achievement of the Slow Art Collective! (laughs)
──You also engage in solo activities. What are the characteristics of your solo work?
In my solo work, I often create large architectural installations using threads or strings in an improvisational manner. It's very enjoyable to challenge myself to see what kind of sculptures I can create with just a single thread and how I can collaborate with the environmental conditions of the site. I'm interested in the artistic results brought about by simple mechanical movements like knitting, tying, and weaving.
Using a thin membrane-like structure, I want to create mechanisms that transform the space from within. It's about collaborating with the environment and the place. When you physically engage with it, that's when you truly understand the place with your body. The atmosphere of the space changes, and those moments are just pure joy.
I also incorporate roots of grasses and flowers from gardening and peels and cores of fruits and vegetables into my installations.
──So, your work derives from the concept of Slow Life.
Yes, I'm particularly interested in things that continue to change, so I create various works using materials like plant roots, seaweed, mycelium, vegetable and fruits seeds skins and soil. The time spent composting, gardening, and cultivating mushrooms is the most precious time, which is the essence of Slow Art. I use such materials and records to create my artwork. However, with the hectic nature of daily life, it's hard to achieve a Slow Life (laughs) truly.
But the essence of Slow Life is valuing the process itself. We must enjoy the everyday processes of life.